2018 September

 

   
 
 
久しぶりのパリ、まだまだ静かなサンジェルマン。爽やかな9月のパリらしいお 天気の朝、カフェもまだ静か。オーナーとひとしきりお喋り、「ヴァカ ンス は?ご家族は?」 いつものカフェノワゼット、「ミルクは温めて別に」が私のスタイル。覚えてい て下さって嬉しい・・・もうす ぐ怒涛の9月が始まる。

 

 

   
 
 
今年はカレンダーの関係で3日の月曜日が新学期のスタート。日本で言う4月の 新年度のように、長いヴァカンスが明けて何もかもが一斉に始まる。土 曜日の サンジェルマンだというのに、まだ街は静か・・・。

 

 

 
 
 
いつもは土曜日はほぼ無理、週日も満々席のビストロもようやく試運転を開始と いうのんびりした雰囲気。オーナーもギャルソンも皆さん日焼けして、 「真っ 白だね?ヴァカンスは?」・・・。テラス席も2階もガラガラ、アコーディオン 弾きが奏でるメロディがガランとした通りに響き渡る。

 

 

   
 
 
素晴らしいお天気に恵まれたヴァカンス最後の週末、テレビもラジオも盛んに 「ヴァカンスも終わり!」と・・・。あまりに静かなサンジェルマンを抜 け チャイナタウンにブランチに行く。シラク大統領が市長だった時代に街路樹が美 しく整備された13区、木陰で頂くヴェトナム料理はまるでホーチミ ンシティ に居るよう。

 

 

 
 
とうとうヴァカンス最後の週末も終わりサンジェルマンをそぞろ歩く。美しいサ ンジェルマン・デ・プレ教会、その裏に続く修道院。いつもはごった返 してい るカフェもワインバーもまだ空いている・・・。「明日からいよいよ始まるね」 と、こちらも定番の会話。

 

 

   
 
 
とうとう始まった9月!我が家の前は大学の医学部、毎年テレビの取材がやって 来る。日に焼けた新入生を前にレポーターがインタビュー、新学期が始 まった 実感。

 

 

   
 
 
9月が始まるとどのスーパーもこぞって「新学期のセール」、どこもかしこも長 蛇の列、人っ子ひとり居なかった先週が既に懐かしい・・・。

 

 

   
 
 
我が家は天井の高い小さなアパルトマン、ボロボロの状態だったものを私のデザ インで家具から一つ一つ作って頂いた。留守の間のホコリを払い細々と 整理す る。「きちんと整理されている状態」、が好きな私には心休まる大切な時間。

 

 

   
 
 
アパルトマンの管理人さんから「MOMIの郵便箱、壊れているよー」と呑気な 電話。明日はヴェネツィアに出発するというのに!なぜか出発前日にこ ういう 事が起こるのがパリの生活。パーキングの入り口のコードもヴァカンスの間に カードキーに変わっているし・・・。少々気が狂いそうになりつつ 「大丈夫、 きっと何とかなる」と呪文のように自分に言い聞かせる。医学部の設備担当のP 氏に電話、「今度はどうしたの?」、早速、鍵を買う場所を 教えてもらう。

 

 

 
 
「首の皮一枚」どころか「髪の毛一本」・・・で何とか繋がって行くパリの生 活、久しぶりのパリモードに少々参りつつようやくヴェネツィアに出発。 こち らはビジネスのディスティネーションではないので機内はガラガラ。しかし滑走 路は9月のパリらしく、ビジネス便で離陸を待つ飛行機でいっぱい いっぱい。 次々に飛び立つ飛行機を眺めつつカフェを頂く至福の朝、鍵もパーキングも解決 して本当に良かった!

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ヴェネツィアからのエールフランス便はヨーロッパ航路なのでターミナル2Fに 到着、RER(郊外線)のロビーにこんなプレートを発見。1994年 を境に 一気に整備が整い始めたシャルル・ド・ゴール空港、TGVの駅が併設されて空 港から地方への移動は格段に便利になった。今では明るい未来都 市のようなこ の空港、私が初めてパリに到着した30数年前とは隔世の感がある・・・。

 

 

   
 
 
パリに戻ると街はすっかりヴァカンスも明け閉まっていたブティックやレストラ ンも全開、どこも大変な賑わい。「8月いっぱいお休み」というパン屋 さんも ようやくオープン、「2018年ーイル・ド・フランスおよびパリの最も美味し いクロワッサン」に選ばれたとか。皆さん楽しそうにお喋りしつ つあれこれと パンを選ぶパリの日常が戻って来る。

 

 

 
 
 
友人達も次々にヴァカンスから戻り、ランチにディナーにと皆に会う恒例の9月 が始まる。ビストロも満々席でゆっくり食後のコーヒーを頂くのもはば から れ、早々にいつものワインバーへ。9月に入って最初のウィークエンドとあって どこも大変な人・・・ぴったりくっついて縦列駐車されている車もテーブ ル代わり? 本当にパリは「時期と時間」で雰囲気が全く違う街。それにしてもすごい人・・・。

 

 

 
 
日曜日の朝のマルシェも始まりようやくパリの日常が戻って来る。たくさんの種 類の違うトマトやじゃがいもを売るBIOのスタンド、あまりに美しく じゃが いもや玉ねぎでさえ宝石のように見える。ポワロー葱も柔らかくて美味しそ う・・・。

 

 

 
 
9月らしい爽やかなお天気の日曜日の朝、カフェを飲みながら音楽を楽しむ人で いっぱいのこの広場、街もすっかり活気を取り戻す。先週まで閑散とし ていて 人っ子ひとり居なかったことが信じられない・・・。

 

 

 
 
 
 
昔のアトリエがあった29番地、と言っても今は27番地、つまりお隣なので懐 かしいも何もないけれど。管理人さんに鍵をお借りして久しぶりにエン トラン スをくぐるとやっぱり懐かしい!3階のアトリエにどれほどの方がいらしただろ う?冷んやりとした階段に座りしばし思い出に更ける・・・。

 

 

 
 
 
今はチャリティーのイベントに使っているスペース、ヴァカンスも明けて久しぶ りの大掃除。濡らした新聞紙を固く絞り、ホコリが建たないように掃 く・・・ 祖母に習った「おばあちゃんの知恵」のようなこのお掃除の方法にフランス人は 皆さん驚く。快晴のパリの朝、祖母を思い出しつつお掃除にい そしむ。共同の 水道は蛇口をひねるコックがない! 管理人さんのお道具箱からペンチを出して・・・、パリの生活は本当に大変。

 

 

   
 
 
その昔、工事現場のようだったパリのメトロの駅も最近はすっかりキレイになっ て・・・。ホームも水がポタポタ落ちてくるようなこともなく、今では 素敵な 白いタイル貼り。日本のようにホームと電車の間に自動ドアを取り付ける工事が 進んでいる。

 

 

 
 
パリの9月はヴァカンスの間に滞っていたさまざまな手続きに奔走する毎日が続 く。車の保険が切れていて使えないのは困ったものだけれど久しぶりに 歩くの もなかなか楽しい。銀行の帰りに若い頃働いていたヴィクトワール広場を通る。 ちょうどその頃再オープンしたばかりだった美しいギャラリー・ ヴィヴィエン ヌ、今も変わらず華やかなパッサージュ、21歳だった私は「夢のようなとこ ろ!」と、母に写真を送ったことを思い出す。

 

 

   
 
 
8月のパリは人が居ないので街中工事だらけ・・・。今年の夏はあまりにも暑くアスファルトが固まらないとかで9月に入っても延々と工事が続く。石 畳もこ うして少しずつリニューアルしていることを知って驚く。何百年も続いている石 畳ではないのかも?

 

 

 
 
銀行から次の用事を足すにもこの辺りは裏道まで良く知っている懐かしいエリ ア、ついつい歩いてしまう。昔働いていたブティックも今では不動産屋さ んに なっている。この階段の上がアトリエで、ヴィクトワール広場のルイ14世の騎 馬像を眺めながら深夜まで働いていた若い頃を思い出す。歴史的建 造物のプ レートもすっかり新しくなって。

 

 

 
 
 
 
 
グラフィックデザイナーの友人御夫妻が数年前に購入したこのアパルトマン、一 棟全てを買い取り、床を抜き、各階高の高い4階に大改築。現場のころ からよ く伺っていたのでようやく隅々まで完成し、細部に至るまで徹底した仕上げに感 激する。あるデザイナーの「神は細部に宿る」という言葉を思い 出す・・・。 真っ白な空間が好きな私の「知りうる限り理想の家」、仕上げの塗料も樹脂を含 んだような滑らかな触感とマット感が素晴らしい!

 

 

 
 
9月のパリはどこもかしこも大混雑、シャルル・ド・ゴール空港もその例外では なく・・・どころか象徴的な大混雑!セキュリティチェックも長蛇の 列、どの フライトも満々席のせいかゲートの並ぶロビーは身動きが取れないほどの人。カ ブトムシのような巨大なターミナルからようやく離れても今度 は滑走路がいっ ぱいいっぱい、離陸の順番待ちの列が続く・・・。毎年の事ながら9月が始まっ た実感。

 

 

 
 
 
快晴の滑走路から離陸して数分、水平飛行に入るとにわかに雲って来る。果てし なく続く雲海、触れそうな雲の不思議な形、快晴の青空とは違うこんな ニュア ンスのある空もまた美しい・・・。

 

 

 
 
 
乗り換えのアムステルダム上空に近ずくと今日は低空飛行が長く空港近郊の農業 地帯が見えてくる。オランダ人の気質らしい、整然とした区分けの畑が 緑の パッチワークのよう。

 

 

   
 
 
東京に戻るとパリ同様、山のような仕事に圧倒される・・・。ボーゼンとしてい るわけにも行かず、ひたすら納品の作業が続くアトリエに篭る。

 

 

 
 
ようやくアトリエに篭る日々は一段落、今度は「書く仕事」を山のように抱えて 軽井沢へ。友人のお見舞いに母が居た懐かしい軽井沢病院に立ち寄る。 青空に 鮮やかにそびえる浅間山をバックに、皇后陛下の御歌の刻まれた石碑が佇むお庭 を歩き母を思い出す。

 

 

   
 
 
軽井沢に来てもひたすら仕事をしていて別荘から出ることがない私。唯一の気分 転換はギャラリースペースに並べたトレーニングマシン。書いては腹 筋、書い ては自転車を漕いで・・・。意外なほど鍛えられているのかも?

 

 

 
 
軽井沢で鍛えて来た?とはいえ、相変わらずあまり上手にならないテニス。中等 科の時はテニス部だったけれどもう40年も昔のお話・・・。とにかく 続ける 事が大切と何とかお仲間に入れて頂いている。長い列はは秩父の宮ラグビー場の 試合、大歓声が聞こえる中クラブのロビーで大阪なおみの東レパ ンパシフィッ クの試合を見る。

 

 

   
 
 
再びアトリエに篭る日々、アクセサリーの業界は既に世界中がクリスマスモード で撮影から検品、納品と全てクリスマス仕様。10月に入るともう新年 とバレ ンタインデーと続き・・・少し前倒し過ぎるのでは?と思うのは私だけではない はず。

 

 

 
 
 
飯田橋の日仏学院に「建築家 坂倉準三 パリー東京」展を見に伺う。中学生 だった私が始めてフランス語を習っていた懐かしい教室、当時は中庭のブ ラッ スリーもこんな洒落たブックショップもなかったけれどなんとも言えない素敵な 空気の漂っている不思議な場所だった。学校の授業が終って一人こ の学院に来 ることはなんとも秘密めいていて・・・。パリに行く日を夢見ていた13歳の私 が蘇る。

 

 

 
 
もはやアクセサリーの包装というよりオブジェの梱包のようなアトリエ。梱包材 のロールを転がし引っ張りながら寸法に合わせて裁断して・・・、年々 大掛か りになるクリスマス用の納品準備。アクササリーやアパレルはお客様のお手元に届くま でに膨大な時間がかかる長丁場、皆様のクリスマスを素敵に彩る お品でありた いもの。

 

 

 
 
母の親友である画家の佐野ぬいさんの作品を拝見しに新国立美術館に行く。朝早 いので空いているロビーに朝陽が降り注ぎなんとも美しい。曲面のガラ スから 差し込む光が幾何学的な影模様を作りまるで現代アートの作品のよう。雲ひとつ ない空にガラスのウェーブが映えて、久しぶりの快晴が嬉しい。

 

 

 
 
書籍はネットで購入する事がほとんどだけれどやっぱり「本屋さん」が好き。自 分が探している本や興味のある本以外にも手に取って眺めているだけで も楽し い本もある。TOTOのショールームにあるこの本屋さんは建築関係の本が専 門、奥のライブラリーコーナーはさまざまな建築雑誌のバックナン バーが読め るのも素晴らしい。

 

 

 
 
クリスマス用の検品作業や梱包準備もいよいよ佳境、9月中に終えておかないと この先の忙しさに拍車がかかる・・・。

 

 

   
 
 
diary index あっという間に9月も終りそれを知らせてくれるかのような金木犀の香り、秋も 本番と思うと何だか気が焦る。クリスマスまでまだ先は長い・・・。 page top

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